マネージャーの井上です。
みなさんは将来デイサービスに通いたいですか?
私は今の段階では週1回くらいでいいなら通ってみもいいかと思っています。なぜなら・・
・社会と少しだけつながっておくため
・食事がでるのなら食事の確保のため
・運動ができるところなら運動の機会をつくるため
デイサービスに行きたくない利用者さん
昨日、あるケアマネージャーとお話していたら、ポツリとこんな話をきりだしました。
「うちの母が、デイサービスにいってくれないの・・」
詳しくきいたところ、お母さまは週2回のデイサービスに通うはずで、少しだけ通ったようです。でも、そこでの筋力トレーニングが少し体にこたえてしまい、次のデイサービスから行ってくれなくなったそう。雨の日は「雨だから・・」と、お休みしてしまうそうです。
そのケアマネージャーは、仕事では、デイサービスに行きたくないという利用者の想いを聴いています。そして、一方では、実の母に対して、「デイに行ってほしい」という自分の娘としての思いを持っています。とても複雑な思いを抱いているようでした。
「デイサービスの送り出し」とは
訪問介護の仕事のなかには「デイサービスの送りだし」があります。
起床のお手伝いから、
食事配膳、
歯磨き、
更衣、
デイサービスにもっていくバックの準備(お薬を入れたり、リハビリパンツを入れたり、入浴用にお着替えを入れたり)
そして、玄関前のバスまで誘導等、わずか30分の間には、色々なドラマがあります。
今まで行きたくない人をどれだけ送りだしたかしれません・・(苦笑)・・。
朝起きられない人、
ご主人(奥様)が気になっていきたくない人、
足腰が痛くて動きたくない人、
単純に気分がのらない人、
そうかと思えば、
デイのバスが来るのを心待ちにして玄関に待機している方もいるかと思えば、デイの男性職員にあこがれてバスに乗ったら、途端にヘルパーに見向きもしない人(笑)。
いろいろな方を送り出してきたと思います。
結構大変、でも重要な「送り出す」こと
スタッフからデイサービスの送り出しは、きちんと送り出せるか必死でやっていると聞きます。
それは、家族の想いも知っているから。
もし、デイに行けなければ、お昼や夕ご飯、日中のトイレはどうするのか? 家族が仕事を休むのか?
行けなかった場合は家族の負担となってしまいます。認知症の方の場合は、日中の安全が確保できるか、一人で自宅にいることが危険な人も多いからです。
家族の想いを考えれば、必死で送り出すのは当然。
それでも、時々「本当にデイにいきたいのかな?」と想いを抱くこともあります。
我慢強い世代だから、家族を想って本当はいきたくなのにいく方もいらっしゃるのでは、と思ったりします。本当はゆっくり老後人生を送りたいのでは・・と思ってしまうのです。
デイサービスの朝
デイサービスの日の朝は早いです。
だいたい8時台のバスに乗るので、準備は7時くらいから始めます。もはや会社員のように、朝からてきぱきと動かないといけないのです。
気持ちよく寝ているところに、急にヘルパーの顔が目の前にあって、「ビックリ!!!」という方も多いかもしれません。
現状を理解できる方は「ああ、ヘルパーさんね、今日行く日ね」で通りますが、認知症の方の起床介助はとても難しい。「あなたは誰?」から始まり、「いかない」となることが多い。確かに状況の理解が難しければ、そうなるのは当然。
重度の認知症の方の場合は、本人のテンションに合わせて対応しないといけない場合が多いように思います。
ニコニコ笑顔で対応すればよいというものではなく、ニコニコが逆に「何、笑ってるの!私はこんなにこまっているのに!」と捉えられる場合も多いからです。
スタッフの入室時のテンションや入り方、声のかけ方も工夫が必要です。どんな反応なのか、「いかない」と言われたらどうするか、毎回ヒヤヒヤしているのです。
「やっぱり行かないとだめかなあ??」
そのケアマネージャーは、ある利用者からこんな風に「行きたくない」を言われたそうです。
その方は、息子さん夫婦と住んでいて、仕事の関係でお嫁さんがデイに行くことを希望されたそう。本人は行きたくないのが分かっている・・・、でもケアマネージャーは家族の負担を軽減するために、デイサービスを提案してみる。介護負担が増えれば、家族の崩壊になりかねない。
そのケアマネージャーは家族の気持ちもわかるし、利用者の本当の気持ちも理解ができるので、悩んでいました。
どうせデイサービスに行くなら、楽しかったと帰って来てほしい、明日もまたいきたいと思ってほしい。
そのケアマネージャーは、自分の母親が通うデイサービスには、運動を軽めにしてほしいとお願いをしたそうです。やっぱり定期的に通ってほしい、家に一人でいて、何かあったら心配だから、健康でいるために、少しだけ頑張ってほしいから。
もっと多様化してほしいデイサービス
今は、デイサービスもいろいろなイベントを考え、高齢者が好きな内容に組み替えたりしているようです。団塊の世代の方のころには、ニーズがもっともっと複雑になるでしょう。将来を見据えてこんなデイサービスがあったらいいなと思います。
おいしいケーキと好きな本が並ぶカフェ系、素材や味にこだわるランチ系、筋トレ重視の体育会系、いろんな絵や音楽、芝居を楽しめる芸術系、毎回どこかに出かけるアウトドア系、自分の農園をもつ園芸系も出てくるでしょうか?(そんなに元気なのかと思われそうですが)
みんな一律、9時集合では、だれも行きたがらないかもしれません。どんなデイサービスなら通いたくなるか?そんなことも考えていかないといけないですね。
多様性、まさに、世の中のニーズにこたえられる福祉社会になっているかにかかっています。