マネージャーの井上です。
介護職は、きつい、汚い、給料が安いなど敬遠されることが多い職業かもしれませんね。施設介護と訪問介護は一緒なようで、違うことが多いです。
今、訪問介護の仕事を始めようと思われている方に少しだけ訪問介護の良さを紹介します。
街を探検、移動は自転車で気分転換
基本的に移動は自転車又は徒歩です。
当社は首都圏にすべての事業所がありますが、スタッフのほぼ9割方は自転車移動です。徒歩の方もいますが、本人たちから聞くと「健康的になります!」と頼もしい一言。
代々木公園店は渋谷区が主なサービス範囲ですが、センター街の中をすり抜けたり、代官山のきれいな住宅街を抜けて移動したり(頻繁に芸能人も見かけたりして 笑)。
吉祥寺店も同じく人気の街の一つですが、井の頭公園の中を抜けて行ったり、それはそれで大変ですが、面白みもあるようです。もちろん雪の季節は前に進まず、必死で訪問しますが、利用者さんの顔を思い浮かべてひたすらに向かいます。大変だけど、喜んで心配してタオルをわざわざ出してくれる、それだけでその苦労はいえます。
桜の季節にはきれいな花を眺めながら移動できてしまうのもこの仕事の特徴。秋の今頃の季節も天気が良いとなかなか楽しいものです。
通勤も近い人は自転車で、満員電車に乗らずに通えます。
毎日訪問先が違うので、新鮮
それぞれの利用者さんは、訪問曜日と訪問時間が決まっています。ですから、毎日違う利用者さんに入ることがほとんど。「また、来週」というセリフでお別れします。
サービスの時間は短ければ、30分、長くても2時間位です。介護保険の改正により昔に比べ滞在時間が短くなってきているので、サッときてサッとケアをして帰るそんなケースが多いです。でも、その分一日の訪問回数が多い利用者さんもいたりして、「また、来ますね」と言って帰ることもしばしば。手を振って見送ってくれる方もいます。
最近は年配のヘルパーさんもいますが、長時間ではないので、逆に体の負担が少なくて、次々訪問できるのも良いようです。
家族?のような1対1のサービス
利用者さんとは1体1でサービスを行いますので、これが結構頼られます。
嬉しい?ことにご家族に話せない内容とか、ヘルパーさんに話してくださることもあります。ご自宅でどういう生活スタイルで、どういった趣味があって、昔はどんな仕事をして、好きな食べ物はこれで、インテリアはこういう趣味で、ペットを飼っていて・・・等情報がすぐわかるので早く慣れます。
お一人で生活されている方は、ほとんどヘルパーが生活の全てをサポートする形になります。掃除、洗濯、入浴、食事の介助等まるでそのお宅の家族になったかのように、じっくりと向き合うこともできるのです。
人と人の相性、それぞれありますが、どうしてもうまくコミュニケーションが取れなかったりした場合はちょっと落ち込んだり。仕事でうまくいかないことがあっても、次の訪問先の利用者さんと相性が合う場合には、逆に元気をもらったり、大先輩として人生のアドバイスを頂いたり、多分、施設介護を選ばずに、訪問介護を選ぶ人はこれが一番の理由かもしれません。
一対一で向き合うことで、利用者さんはケアや心のサポートを受けること、私たちスタッフは生きていくうえで大事な考え方や生き様などを学ばせてもらう事ができます、そんな関係が良くて、わざわざきつくて、つらい仕事と言われている仕事を選んでいるように思います。
以前、私が店長時代にある利用者さんからこんな事を言われたことがあります。
「私も若くして、父親の後を継いで何人もの社員を抱えて、大変な時期があった。それは若いからできたこと、大いに若さを発揮して仕事をしなさい」
また、ある女性の利用者さんからは、「結婚なんて、年を気にしちゃだめよ、若くて結婚すればいいというものではないの、社会経験を沢山積んでから結婚しなさい」
私が10年近く担当していた方からは、「平和が一番よ、今はいい時代ね」そういって、東京大空襲で逃げまわった経験を話してくださる方もいました。
人と人が接する仕事だから、難しい分、手ごたえや感動があります。
最後の最後まで一緒に・・・
ご自宅で最後まで・・これは誰しもが考えることではないでしょうか。人によっては、いざというときも救急車を呼ばすに、往診の先生に来ていただくとか、無理に延命しないという方も多いです。ご自宅で最期は看取りたいというご家族も多く、現に家族やヘルパーに看取られてなくなられる方もいらっしゃいました。
看取りに入るときは、訪問看護さんや往診の先生等との連携が強まります。みんなで最後の最後に苦痛なくスーっと息が途絶えるそのときまで、最大限できることをします。
介護では、ホットタオルで顔を拭いてあげる、とか少しだけ水分を口に含ませる、体位交換で体の痛みを和らげる、そんなことくらいしかできないのですが、それを一生懸命します。
「ありがとう、また来てね」が一番!!
介護はお給料が安い、きつい、汚い。でも、こんな仕事をなぜ辞めないのか?
それは、利用者さんの「ありがとう、また来てね」が、安い、きつい、汚いにまさっているのだと思います。
家で好きな食事が食べられること、自宅のお風呂に入って清潔が保持できること、小さな支えですが、私達にとってはこれが誇れる仕事です、だから訪問介護はこれからも、一人でも多くの人が自宅で生活できるようにサポートしたいと思います。