マネージャーの井上です。
毎年虐待についての研修をしています。
昨日も代々木公園店で「虐待」についての研修に参加して、そして考えました。
実際に虐待とまではいかなくても、「これは??」と思うことは常に隣り合わせにあります。
とても重要な課題です。
今年は目黒区の幼児虐待事件があったので、皆さんも記憶に新しいのではないでしょうか?
幼児でも、高齢者でも、女性でも、常に虐待の標的は弱い人です。
特に高齢者の場合は、言葉が発せられない、自分で動くことができない等、本当の弱者。
抵抗なんかできない。
実は、訪問介護では、介護スタッフが虐待を行ったとは、めったに聞きません。
なぜ?
もちろん、訪問時間が短い、そして施設よりも重度の方が少ないという理由があります。
それに加えて、特に私が感じるのは、
①ご利用者は昔から住み慣れたご自宅にいるので、自然体で過ごしていることが多いから。
②安心できるご家族がいるから。(家族にとっては介護が負担と感じる場合もありますが・・・)
でも、ご家族による虐待ケースはよく聞きます。
介護を担っているご家族が虐待に近い行為を、「虐待と知らずに」している場面は多い気がします。
「・・・ただ知らないだけ」で、身近すぎる存在だから、気がついていないのでは?と思う場面もあります。
そして、「困っていても相談できる窓口」がわからないのでは?というケースも。
例えば、食事を1食2食抜いても何も言わないから(本人がわからないから)大丈夫・・・なんて考えるご家族がいます。
それが虐待にあたるとは考えもしない。
介護をしていない人から見ると、どうしてそんなことをしようかなんて、理解が難しいかもしれない。
その動機には、介護の大変さが隠れています。
介護を担っている家族だからこそ、それくらいは・・・・と思うことも。
それが積み重なると、声に出せない高齢者はみるみるうちに衰弱してしまう。
では、介護スタッフには何かできるだろう?
もちろん危険な時には、直ちに区や市につなげて、安全を確保しないといけない。
何よりも利用者本人が、安全に過ごせるように、あらゆるところに助けを求めないといけない。
では、そこまででもないときは、何ができるのだろう?
介護者と利用者双方の話を聴くこと。
介護者は介護者で、日々のストレスの矛先を、どこに向けたらいいのか誰にも相談できない人もいっぱいいるはず。
だからしっかりお話をきいて、
しっかりうなづいて、
共感すること。
大変ですね。
頑張っていますね。
と、しっかりねぎらうこと。
一緒にご利用者を看ていきましょうと声をかけること。
明日の朝には、ヘルパーが来ますよと告げて、安心してもらうこと。
それだけはできそうだ。
利用者には??
「何かありました?」
「どうしました?」
と尋ねること。それもできそう。
人間は心を許した人にしか相談はしないし、自分を理解してくれる人でないと話が通じないから、だから「どうしました?」繰り返し聴くこと。
では、虐待について解決策はあるのかしら?
どの地点ですべて解決だ!となるのかしら?
たぶん解決はない。
まずはやってみて、ご家族もご利用者も穏やかになったら、ただそれでいいのだ。
多分、ご家族もご利用者も、最終解決を求めてはいない気がする。
ほしいのは、
その状態を抜けて気持ちが穏やかになる事。
先の心配をしなくてよいこと。
ゆっくり朝まで眠れること。
好きな買い物ができること。
遠くまで旅行ができること。
夕食をゆっくり食べられること。
穏やかに外を眺められること。
手をあげられる恐怖におびえないですむこと。
温かい食事がゆっくり食べられること。
こころをひきさかれるような言葉が聞こえないこと。
それだけでいい。
これは社会全体で解決していないといけない問題。
もう高齢化を避けることはできないはず。
認知症の高齢者はますます増えます。
身近な介護問題は息子・娘である一人っ子にも必ずやってきます。
仕事はやめられない、だから社会全体で今から考えることが大事。
知らないではすまない、知らせるようにわたしたちみんなが発信し、社会全体で考えていこう。
もうそれほど時間はないのだから。